卒業―それぞれの道を歩みだす少年たち―僕らの行く末〜side story〜

卒業。
この言葉には二つの意味があると私は踏んでいる。
ひとつは、とある業を終えること。
もうひとつは、また新たな業に出会うこと。

今年中学校を卒業した15歳の少年少女たちの目には、今後の未来を据えるような目になっているのだろうか?

多くの少年少女は大切な仲間たちと、はたまた人生を共に歩かんとする者達と別れ、別々の道を歩んでいくのだろう。

それはとても悲しく寂しいもので、儚い人生の中での別れほど辛いものはない。
だが、それは同時に新たな出会いを生む。
新しい環境で新しい出会いがある。
その出会いこそが人間の生きる糧となる。
そこで出会いを閉ざすこと、自分の中に籠もること。
これは別れの悲しみをずっと引き摺った者がやる過ちだ。


別れ。

大切な人、守るべき人、永遠を分かち合える人、人生を左右させる人、救ってくれる人、救われる人。
自分を認めてくれる人

人は誰かに支えられ、誰かを支えている。
それは無意識下で行われているものかもしれない。
しかし、人間は一人では生きていけない。

そんな中での別れ。
今まで、自分を自分であらせてくれた人、自分の存在を確立させるために手伝ってくれた人がいなくなるこの虚無感、悲しみ、これからどうしていけばいいのかわからない虚空感。信じれる相手を失う辛さ。

人生で二度も味わいたくない悲しみ。

―何故?―訊ねる声は擦れていて聞き取りずらい。
―一緒に行こうよ―そう言う彼女の瞳は真っ赤に充血していて。
―さよならは言わないよ―そんな彼女は引きつった笑顔を見せながらも手を振る。


辛い。悲しい。離れたくない。
ずっと一緒にいたい。